女ぎらいの修練士 (コバルト文庫)

女ぎらいの修練士 (コバルト文庫)
 「楽園の魔女たち」の作者の新作です。三部作(というかオムニバス?)「エネアドの3つの枝」、その二作目にあたります。癖のないファンタジー世界で、エネアドに住む三人の娘たちの恋を描くシリーズ、今回は奔放で気が強い女性ララと朴念仁セインの物語です。

 12日現在、このメモを書くためにざっともう一度本を眺めてみてますが、強いて言うことがないんですよね。特にひっかかった点もなく、すごく気に入った箇所もなく、普通のラブストーリー/エンターテイメントです。
 樹川さんは会話やキャラの感情の起伏の魅せ方が上手い人だな、と改めて思います。前作である楽園の魔女たちでは、ハートマークを使っていたりフォントサイズを弄っていたりと私にとっては許容しがたい点が多かったはずなんですが、大好きなシリーズの一つです。全体的にコミカルで気分転換できる雰囲気と、四人の少女たちのキャラクター・その成長ってあたりがポイントでした。前作の評価が高いために、今作の評価が標準レベルになってしまうのですが。

 今回一番印象に残ったのはあとがきの「腕時計」について。私にとっては「外に出る時は無いと気になるけど、座っている時や部屋にいるときは必ず外すもの。時々置き場所が分からなくなったりするけど、昔から使っている妙に愛着のあるもの」ですかね。思わず苦笑してしまいました。
 でもこれ、携帯電話が普及している今では心理テストにならないんじゃないかな。