銀盤カレイドスコープ〈vol.5〉ルーキー・プログラム:Candy candy all my rules (集英社スーパーダッシュ文庫)

銀盤カレイドスコープ〈vol.5〉ルーキー・プログラム:Candy candy all my rules (集英社スーパーダッシュ文庫)
 リンク元の記録を見て少し後ろめたくなったので、一応ネタバレに配慮しつつ簡単な感想を。
 もうすっかり有名になった銀盤カレイドスコープの、五冊目です。トップクラスのアイススケーターになった桜野タズサと、イギリスから来たアイドル兼新人スケーターのキャンディとのお話。今までは尊大ながらも挑戦者だったタズサが、今度は王者として待ち受けます。だからといって彼女の何が変わるわけでもないのですが。
 銀盤カレイドスコープらしい軽快な語り口と、感情表現。やや薄めの文章も、相変わらず。決して悪くは無かったものの、一・二巻の時のインパクトはありませんでした。ひっかかりを覚えたのはキャンディの性格と、タズサの恋愛がらみの二点。全体的な展開は先読みしやすいものの、読みやすさや安定感重視と見れば、この作品にとっては傷ってほどのものではないでしょう。
 恋愛関係で違和感を覚えたのは、最初の恋はさておき三巻のそれがさほど重いものに思えなかったからかな。もう一つ。前回のタズサの傷と、今回の彼のものと。ほとんど同じですよね。お互い、今まで得られなかったものが得られるかもしれない。そこで何故ひいてしまうんだろう。三巻での恋そのものにあまり納得いってないので、タズサが断ることそのものは自然に思えるのですが、そこまでの彼女の心情にどこか不自然さを感じました。 
 そういえば私はあんまりスポーツ全般詳しくないんですが、フィギュアスケートってあんなに物語性があるものなんでしょうか。小説の表現として文句があるわけではないんですが、実際はどうなんだろう、とちょっとした疑問。
 タズサの一番の本質は、負けず嫌いとかじゃなくて自分の価値観に忠実なことのように思う。

 うーん、結局批判めいてしまった。八章以降の雰囲気は好きでした。ずいぶん中途半端なところで終わりましたが、これが前編なのかな。